蒸気機関車の写真館 「煙にまかれて」 海外蒸気 ミャンマー ナムツ鉱山鉄道 1−1

Myanmar   Namtu Mine Railway
ミャンマー  ナムツ鉱山鉄道   1-1

2013年3月に初めての訪問です。たまたま、ある方からナムツ鉱山SL撮影ツアーのガイド
をしたことのあるミャンマー人を紹介していただきました。その結果、私個人の主導でこの
撮影ツアーを催行しました。

ミャンマーは、近年、開放政策が進められ、ビジネスと観光の両面で活気があります。その
余波で、ヤンゴンではホテルの予約が取りにくく、ホテル料金も高騰してしまいかなり苦労
をさせられました。最近(2015年)は少し落ち着いてきたと聞きます。ナムツにはホテル
が無く、鉱山のゲストハウスに宿泊しました。かなり古い施設ですが、イギリスの植民地時
代を彷彿させるようなサービスでした。

ナムツ鉱山は、15世紀には採鉱されていたという古い歴史を持ち、銀・鉛・亜鉛・ニッケル
・銅などを産出していましたが、2012年以降資源枯渇のため休止中です。一方、新たな鉱
脈を見出すべく探査活動もなされており、鉱山の早期再開が期待されております。このため
鉱山では、技術・設備・人材の維持に努めており、鉄道も温存しております。その費用は、
かつて採掘し捨て置かれたズリの売却で捻出しているようです。ズリにはまだ十分な有価な
鉱物を含んでいるようです。

ナムツはマンダレー(Mandalay)の北東方向に約250km離れた山岳地帯にあります。交
通は、マンダレーから、シッポー(Hsipaw)経由で、車で約6時間かかります。なお、マン
ダレ⇔シッポー間は列車でも移動が可能ですが、この間だけでも11時間はかかります。シッ
ポ―からは、車で約2時間です。私たちは、日本からバンコク乗換でヤンゴンに入り、翌早
朝、ヤンゴンからマンダレーに飛行機で移動し、そこから車でナムツに入りました。ナムツ
到着はもう夜でした。

ナムツ鉱山鉄道は、Namyao(0km)−Namtu(距離51.4km)−Bawdwin(距離69.9km)に、
610mmゲージで敷設されています。Namtuが鉄道の中心で、ここには、鉱山事務所、精錬
所および、町があります。Namyaoでは、ミャンマー国鉄のマンダレー・ラシオ(Lashio)
線と接続しています。Bawdwinには採鉱所があります。現在、鉄道は、Namtu−Bawdwin
間で沿線に住む住民のための生活物資などの輸送を行っているだけです。鉱石などの運搬は休
止中です。この区間には道路がないのです。しかし、Bawdwin付近で土砂崩れがあり一部不
通のままになっています。

私たちは、ナムツ鉱山鉄道を3日間チャーター運転しました。撮影した画像を7回に分けて掲
載しました。ここでは、その1として1日目の前半の写真を掲載しました。

追記
Namtuには、また行きたいと思いますが、費用の点から参加者5人程度はほしいです。ある
程度の希望者が揃えば、企画します。希望者は連絡をいただければ幸いです。2018年、ナム
ツ鉱山付近は、民族紛争の影響で治安が悪くなり、外国人の立ち入りが制限されています。鉄
道と機関車は整備されており運転は可能なようです。

海外蒸気に戻る      表紙に戻る

  
1日目の朝です。山に囲まれているため、朝日が顔を出すのはかなり遅い時刻です。ナムツ駅
付近の標高は600m程度なので、朝晩は結構冷え込みます。ミャンマーの人にとっては寒冷地
域なので、この地に住みたがらないのだそうです。だから、鉱山休止中にもかかわらず、人を
解雇せずにいるのだそうです。解雇してしまうと、鉱山を再開した時、人が集められない可能
性が大とのことです。この日の運転は、13号機です。0B1の軸配置、アウトサイドフレーム
構造です。銘板には、イギリスのカー・スチュアート(Kerr Stuart)社、1914年と記載さ
れていました。

  
  

  


  


  
  このDLも現役です。

  
  運行コントロール室からの眺めです。

  
  Namyao方面側です。

  
  Bawdwin方面側です。機関庫、廃車体がならびます。稼働可能なSLは2両のようです。

  
「安全第一 仕事第二」のスローガンがかかげてあります。なかなかすごいです。
日本でも「安全第一」をよく見かけるが、「仕事第二」をかかげている会社は無いでしょう。

  
7時過ぎになって、ようやく朝日が当たり始めます。なお、時差は-2.5時間(対日本)、
+6.5時間(対標準時)なので時計合わせが少し面倒です。時差で小数点以下を設定している
国はあまりないですね。このあたりもこれまで閉鎖的な国だったことがうかがえますね。

  
いよいよ、チャーター列車の出発です。手始めに、Namtu駅のNamyao側はずれにあるナム
ツ橋で撮影です。

  


  


  


  

  


  
Bawdwin方面に向けて出発です。私たちは先行列車(DL牽引)の最後部の無蓋貨車に乗り込
みます。この日は、Namtu(0km)−Lopha(6.9km)−Wallah Gorge(10.6km)
−Tiger Camp(11.4km)までの運転です。Namtuから終点Bawdwinまでは18.6kmで
す。Bawdwin近くに不通区間があります。次回訪問時にはこの先にも行ってみたいものです。
Tiger Campの先には2つのスイッチバックがあり、なかなか期待できる場所のようです。

  
  先行列車後部からの撮影です。

  


  
重い鉱石運搬列車の鉄道のため、結構太いレールを使用しています。ヘロヘロ感はまったく
ありません。レールが太いので610mmゲージが、さらに狭く感じさせられます。

  


  


  


  


  


  


  
  サンドマンはかなりの頻度で空転防止の砂を撒きます。

  


  
  以上、先行列車の最後部からの撮影でした。

  


  


  


  
私たちが乗る先行列車の貨車には地元民も乗り込みました。沿線には、鉱山住宅の他に一般
農家も点在しています。近くに道路が無いので、バイクが時折犬走りを通りぬけます。

  


  


  


  


  


  
ここで機関車のトラブルです。まだLopha(6.9km)にも着いていません。1-2に続く。

ナムツ鉱山鉄道
  画像:1-1=, 1-2=, 1-3=, 1-4=, 1-5=, 1-6=, 1-7=
  ビデオ:
   その1:1=, 2=, 3=, 4=, 5=, 6=, 7=, 8=, 9=, 10=,
       11=,12=,13=,14=,15=,16=,17=,18=,21=,
       22=,23=,24=,25=

この前は、ミャンマー ミャンマー国鉄(1-1=)です。
この次は、インド ティポン炭鉱鉄道(1-1=)です。

海外蒸気に戻る     表紙に戻る