蒸気機関車の写真館 「煙にまかれて」 海外蒸気  北アメリカ  USA  ギャラティン 皆既日食

USA   Total Eclipse on Gallatin Tennessee  
米国   皆既日食(テネシー州ギャラティン)

2017年8月21日の撮影で非鉄です。この日は、北アメリカ大陸を横断する皆既日食があり、その
観察に行きました。以前、2009年7月の皆既日食を見ようと上海を訪問しましたが、厚い雲に隠
されてしまい失敗しています。今回は天候に恵まれ、第1接触から第3接触まで十分に堪能し、第
4接触まではまたずに引き揚げました。
今回、観察地をどこにするかと検討したのですが、テネシー州ナッシュビル(Tennessee、Nashvill)
近郊のギャラティン(Gallatin)を第一候補としました。選んだ理由は、皆既日食時間が2分40秒と今
回ではほぼ最長であること、天候も晴れる可能性が高いこと、仰角が60度以上と高いので雲などに
じゃまされる可能性が低い、などです。なお、皆既日食観察ベテランによるとこの場所は少しリス
キーとの評価でした。宿を、ナッシュビル空港の近くに取り、車で約40分離れたギャラティンの
Volunteer State Community Collegeの敷地内で観察しました。当日の予報によっては別の場所に移
動するつもりでしたが、ここで大正解でした。広い芝生のキャンパスでゆったりとしており、駐車
場も完備でした。にわか天文フアンな私は、まともな撮影機材を持っていません。フィルター以外
はすべて鉄道撮影用の機材のままです。今回は、ニコンD500(APS-Cサイズ)に70-200mmのレ
ンズと2倍のテレコンをつけて、35mm換算で600mm相当の焦点距離にしました。本当は、800
〜1000mm程度が好ましいようですが。さらに、家庭用小型ビデオカメラでも連続撮影しました。
カメラ、ビデオ共に赤道儀のような追尾装置を装着しておらず、一般的な三脚にセットして、手で
少しづつ動かしながらの撮影でした。第一接触から第2接触直前までと、第3接触直後以降では
ND100000のフィルターを着けています。クライマックスは第2接触の直前から第3接触の直後
までのわずか3〜4分しかなく失敗は許されないの思いで、事前準備を入念に行いました。事前にカ
メラの設定条件などをメモしておき、練習をしておきました。設定条件などは、先輩方の記事を参
考にさせていただきました。本番ではメモに従い、慌てることなく作業するように努めました。ま
た、カメラの操作だけでなく、極力肉眼観察も行った。初めての撮影にしては、それなりの画像が
得られたのではないかと思っています。

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撮影11:53で日食が始まる前です。3個の黒点が見えます。カメラは、f=8、S=1/2000秒、
ISO=100、ND100000フィルター。  第1接触(日食の開始)は11:59です。

  
  撮影12:06、すでに日食が始まっています。

  
撮影12:57、あたりは一段と暗くなり、気温も下がります。日向に出ても強い日差しを感じません。

  
  撮影13:16
  

  
撮影13:26、第2接触まであと1分程度です。暗くなってきたので、Sのみ1/1000秒に変更しま
した。この後、ダイヤモンドリングに備えてNDフィルターをはずし、絞り優先の露出でオート
BKTの準備です。

  
第2接触の直前でダイヤモンドリングが見えはじめます。NDフィルターなし、絞り優先(f=8)の
露出、ISO=100でオートBKTを使い、連続シャッターです。S=1/400秒、露出補正-2

  
  上記写真の8秒後です。上記と同一撮影条件で、S=1/320秒、露出補正-2

  
上記写真の3秒後です。上記と同一撮影条件で、S=1/160秒、露出補正-2。急激に露出が下がっ
ていきます。

  
上記写真の4秒後です。上記と同一撮影条件で、何度もオートBKTを繰り返します。S=1/40秒、
露出補正-2。結局、約15秒間ダイヤモンドリングを見ることができました。この間、カメラのレ
リーズを押しているだけで、カメラを一切見ずに、ダイヤモンドリングだけを見ていました。皆既
日食ならではのだいご味です。金環日食とは雲泥の差でしょうね。急激に露出が下がっていきます。
この直後に第2接触となり、皆既日食になります。

  
2分40秒間の皆既日食が始まりました。これは、皆既日食中の全体の雰囲気です。太陽の仰角が
60度以上と高いため、24mmレンズでは、同一画面に地上と皆既日食を入れるのがやっとです。
ナッシュビル方面にはかなり雲が湧いており、観察できない所もあったと、後日、聞きました。
地平線のあたりの空は明るく赤くなっており、本影錐がわかります。本番中は夢中で、本影錐に
気がつく余裕がなく、後日、画像で気がつきました。皆既日食初心者なのでしかたがありません。
気温は5℃以上も下がり、日没後30分頃のような暗さになりました。2分40秒間、この雰囲気を
楽しみました。撮影にとらわれずに、肉眼観察を楽しむよう心がけましたが、実際は「おーーっ、
おーーーっ、おーーーーっ」と声を上げるばかりでした。予行練習した通りにシャッターを押す
ことはできたように思います。でも、十分な肉眼観察ができたとも思えません。次回に期待です。
皆既日食中はコロナが良く見えます。しかし、コロナの明るさは太陽近傍と離れたところでは大
きく異なるため、1枚の写真に肉眼で見るような印象に撮影するのは困難です。肉眼観察の状態
に近づけるため、撮影の露光条件を変えて何枚も撮影し、それを合成する手法があります。この
時は、f=8、ISO=100に固定し、カメラのオートBKT機能でシャッタースピード1/250秒〜
1/1秒まで9段階に変えて撮影しました。これも先輩方の記事を参考に決めました。
  
BKT1枚目:S=1/250秒。太陽近傍のコロナが見えます。また赤いプロミネンスも観察できました。
カメラがかなりの部分を自動でやってくれるので、肉眼観察にそれなりに専念できた。
  

  
  BKT2枚目:S=1/125秒です。まだ、太陽近傍のコロナは白飛びしていません。

  
  BKT3枚目:S=1/60秒です。

  
  BKT4枚目:S=1/30秒です。太陽近傍のコロナの白飛びが目立ちはじめました。

  
BKT5枚目:S=1/15秒です。太陽から離れたコロナが写りはじめますが、太陽近傍のコロナ
の白飛びが激しくなってきます。

  
  BKT6枚目:S=1/8秒です。

  
  BKT7枚目:S=1/4秒です。

  
  BKT8枚目:S=1/2秒です。

  
  BKT9枚目:S=1秒です。

  
上の9枚(S=1/250秒〜1秒)を合成して、太陽近傍から離れた所までのコロナが見られるよう
にしてみました。しかし、天文雑誌などで見るようなレベルには仕上げられません。

  
天文雑誌の記事を参考にさらに編集しました。コロナの流れがある程度分かるようにできました。
天文雑誌でみかける作品に少し近づけました。この分野も奥が深そうです。

  
  第3接触(皆既日食が終わり、部分食に移行しはじめる)が終わり、ダイヤモンドリングが
  出現しました。プロミネンスがよくわかります。f=8、S=1/250秒です。
  

  
  ダイヤモンドリング2


  
  ダイヤモンドリング3

  
  ダイヤモンドリング4

  
 ダイヤモンドリング5。f=8、S=1/125秒です。ダイヤモンドリング2の画像の0.1秒後です。
 これ以降、急激に明るさを増し、ダイヤモンドリングが終了します。
  

  
  明るくなったため、再びND100000のフィルターを着けます。f=8、S=1/1250秒
 

  
撮影13:43、第3接触から13分後です。天文ショーは第4接触(日食の終わり、14:54)まで続くので
すが、気分としては、第3接触で日食終了です。これで引き上げる人も多いです。私たちもこれで
撮影を終え、ナッシュビル空港に向いました。少し早めに切り上げたので、交通渋滞に会うことも
なく、空港に到着しました。この時はツアーでなく、個人手配で行きました。ツアー料金の多くは
60〜80万円とかなり高額でしたが、個人手配の私は25万円程度で済みました。アメリカのような
先進国の場合、インフラがととのっているので個人でも容易に行けると思います。撮影場所は結果
オーライでしたが、リスクのある場所だったように思います。皆既日食時間が2分程度と短くて
も、アメリカ西部の乾燥地帯にすべきだったかもしれません。次回の皆既日食は2019年7月3日、
南太平洋から南アメリカ大陸で見られるようです。行きませんでした。

USA テネシー州 ギャラティン  皆既日食(非鉄):ビデオ:1=

この前は、カナダ イエローナイフのオーロラ観察(非鉄)(1-1=)です。
この次は、USA カリフォルニア州ナパ ナパ渓谷ワイン列車(無煙)(1=)です。

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