蒸気機関車の写真館 「煙にまかれて」 国内復活蒸気  北陸 富山 立山砂防軌道 2

立山砂防工事専用軌道 2-1

2019年7月24日の訪問です。富山県の常願寺川の治水工事のために、国土交通省北陸地方整備
局立山砂防事務所が運営する工事用の鉄道で、一般客の利用は不可です。しかし、年に数回、砂
防工事の見学会があり、その時に、この鉄道に乗ることができます。毎年、募集がなされます。
2017年8月は抽選に当たったのですが、当日の天候不良で中止でした。2018年は抽選にはず
れました。2019年7月24日は抽選に当たり、天候にも恵まれ、乗車できました。なお、抽選に
応募したのは私でなく、鉄友のSさんです。正式名称は「立山カルデラ砂防体験学習会」で、富
山県立山砂防博物館の主催です。募集要項などは、http://www.tatecal.or.jp/tatecal/taigaku
2019/db_taigaku.htmlを参照してください。なお、1班(行き:バス、帰り:鉄道)と2班(行き
:鉄道、帰り:バス)があるので、鉄道ファンには2班の方が好まれるようです。私たちも2班
に参加でした。今回の体験学習で立山砂防工事の意義を少し理解できたように思います。1858
年におきた飛越地震で常願寺川の上流にあった大鳶、小鳶の両山が崩壊し、常願寺川をせき止め、
その堰止湖が崩壊して、大量の土石流が流れ、富山平野に大被害を与えていた。崩壊した土石は
4.1憶立方mと言われ、今なお2億立方mもの土石が上流に残っているという。この2億立方mの
土石が一気に流れ出ると常願寺川下流域の地面が2mも高くなると言われています。この土石の
流れを制御して、常願寺川流域の被害を防ぐ目的で立山砂防工事が始まったとのことです。その
工事の資材運搬などのために鉄道が敷設されました。この時点では、起点の千寿原(標高476m)
から終点の水谷(標高1116m)まで、路線長約18km、610mmゲージの鉄道となっています。
途中には38か所のスイッチバックがあり、特に、終点近くには連続18段のスイッチバックがあ
ります。列車は、2時間近くかけて走ります。 

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妙寿付近の4段スイッチバックです。乗車した列車は、小さなディーゼル機関車に3両の客車を
つないだものです。1車両に9人が乗れるので、1列車で27人です。実際には、ガイドや、鉄道
関係者も乗りますので一般客は20人に限定です。常願寺川は列車の進行方向の右側を流れていま
す。なので、景色を見るには右側の座席が良いと思います。幸い、その席に先着順で座れました。
車両ギリギリに木立や鉄道施設があるので、窓から顔や手を出すことは厳禁です。なので、車窓
からの撮影はかなりの制約を受けます。また、終点までノンストップなので、列車の撮影も困難
です。続行列車があれば、少しは撮れるかもしれませんが。この時は、ありませんでした。各班
40人募集の日もあるので、この日なら続行運転になるのでしょう。鉄道沿線には木立が生い茂
り、線路がよく見える場所はあまりありません。やっと見られたスイッチバック線です。この後
の画像もほとんどが線路だけです。

   
   同上

   
鬼ケ城連絡所。工事用の列車とすれ違いました。終点までにいくつかの連絡所があり、ここには
鉄道員が駐在しています。後方の崩壊は鬼ケ城谷です。

   
   同上

      
   鬼ケ城の2段スイッチバック。鬼ケ城連絡所の全景です。すれ違った工事用列車です。

   
滝谷付近の6段スイッチバック。後方はサブ谷砂防堰堤。車でも行けるようです。

   
同上。スイッチバックがすっきりと見える場所がなかなかありません。スイッチバックのポイン
ト切替は運転士の無線遠隔操作で瞬時に切替ります。到着後、逆方向へ移動開始までの時間は数
秒程度です。

   
サブ谷砂防堰堤の全景。列車で運べないような大型重機も活躍。堰堤工事に使うコンクリートも、
専用道路を使って生コン工場からミキサー車で運ばれています。各工事現場には専用道路が通じて
いるようです。かつては、40kg入りセメント袋を列車に積んで各工事現場に運んでいたようです
が。現時点では、この軌道が果たす役割はあまりなさそうに感じます。

    
   滝谷付近の6段スイッチバック。右上にこれから渡る橋梁が見えます。

   
   同上  


   
常願寺川の湯川(本流、左側)と真川(支流)の分岐点。湯川の堰堤は水谷第3号堰堤。こちら
でも鉄道では運べない大型重機が活躍してました。

   
樺平連絡所。レールカーと客車列車と交換です。客車列車は、私たちが乗っているのと同じタイ
プです。ここから、18段スイッチバックに入っていきます。以前の軌道はここが終点で、この先
はインクラインなどで資材を運んでいたのですが、積み替えの手間、インクラインの輸送力の問
題で、18段スイッチバックに切り替えたとのこと。さらに今ではトラック輸送が主力です。

      
   樺平連絡所の一部を俯瞰。右にモノレールがありました。

   
   18段スイッチバック

   
   同上

      
   同上。3ヶ所のスイッチバックがかろうじて見て取れます。

   
   同上

   
   同上。かろうじて8段?のスイッチバックが確認できたように思います。

   
   同上

   
   同上

   
   同上。18段スイッチバックを越えると、終点に水谷までなだらかな軌道です。

   
   終点の水谷連絡所。ここには作業員らの宿舎が並んでいます。乗ってきた列車です。

   
   同上

   
   同上

   
   上部には滝が見えます。

   
   同上

   
以前は、水谷からさらに500mほどの軌道があり、これはその時のトンネルです。線路がまだ残
っています。現在は、車や歩行者が使っています。体験乗車はこれで終わりですが、体験学習は
バスで移動しながらですが、これからが本番です。バスで千寿原に戻ったのが16時過ぎでした。 

立山砂防工事専用軌道(通称、立山砂防軌道)(無煙、現役) 画像:1-1=、2-1=
                            ビデオ:無し

この前は、富山地方鉄道富山軌道線(市電、無煙、現役)1=です。
この次は、三信鉱工(株) 粟代鉱業所 1=です。

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